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土木学会に土木技術者資格制度を創設する目的は、倫理観と専門的能力を有する土木技術者を評価し、これを社会に対し責任を持って明示することにあります。
「個人の時代」―組織に対する忠誠心を基本に、終身雇用や年功序列が組織と個人との関係を形作ってきた時代から、組織も個人もそれぞれが相手方を適切に評価し、それに基づき雇用が成立するという時代に変わりつつあります。
そこでは、個人や組織を適切に評価するための尺度が不可欠です。個人の特に技術者としての能力をどのようにして評価するのか、また、専門性あるいは専門分野をどう評価するのか、それらを正式に表明できるシステムが必要とされています。また、雇用が流動的化するにつれ、組織としても、個々の技術者から働くに値するところか否か厳正に評価される、つまり技術者から選択される対象となってきています。
技術者の能力を端的に示すものとして種々の「技術者資格」があります。技術士、土木施工管理技士等の国家資格やRCCM、コンクリート技士等の民間資格など、数多くの「技術者資格」があります。これらの資格はそれぞれ固有の目的を持っており、発注機関はその適切な活用を図ってきています。
しかし、一般の国民からは「土木技術者」はどう見えているのでしょうか。「土木技術者」の個々の専門性はどう理解されているのでしょうか。例えば医者の世界のように、医師と専門医といった明確な区分ができているのでしょうか。消化器系の患者は消化器の専門医を訪れることはあっても、呼吸器系の専門医に命を託すとは考えられません。
「土木技術者」の世界も医者の世界のようになれば、社会に対し「土木技術者」の責任を明確にしていくことができます。また、欧米の中には「技術者は自分の有能な領域においてのみサービスを行う」ことを技術者の専門職としての義務としている国もあります。
専門職としての「土木技術者」、それに倫理観の涵養に努めつつ、自己の継続的な能力開発を行い、実務を通じてステップアップし、さらに専門性を高め、「専門技術者」として自己実現を図る。高等教育修了後からの「土木技術者」としての一生を「資格」を介して明確にすることにより、「土木技術者」としての道筋のみならず、広く社会からも「土木技術者」がよく見えるようになると考えます。
土木学会が創設する「土木学会認定技術者資格」はまさに、このような倫理観と専門的能力を有する土木技術者を評価し、これを社会に対し責任を持って明示することを目的としています。
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